最近は次々と新しい化学物質が開発され、どんどん身の回りに入ってきています。これは生活向上のために役立っているのでよいことです。しかしその反面、気を付けないと中毒の原因になるものも増えています。毒入りジュースのパラコート、ワインに入っていたジエチレングリコール、水道の水からみつかったトリハロメタンなど、どれも聞いたこともないようなものばかりです。医薬品に限らず、あらゆるものは正しく安全に取り扱わなくてはなりません。

中毒に対しては、まず落ち着くことから
 赤ちゃんが蚊取線香をかじってしまいました。さあ大変、なんとかしなくちゃ。吐かせるにはどうしたらいいのかしら。それとも救急車を呼ぼうかしら。こんなことを考えてついオロオロと時間を損してしまうことはありませんか。中毒は時間との闘いです。まず落ち着いてください。すべてはそれからです。
(注)蚊取線香はほとんど心配ありません。2本も3本も食べたというのならともかく、常識的になめたりかじったりした程度では心配はまったくありません。

吐かせ方―中毒処置の第一歩
 毒物が体の中に入ってしまったときは、なるべく早く外に出してやる必要があります。その方法のひとつが催吐―吐かせることです。これは家庭でできることであり、第一番に行うべきことです。吐かせるには、子供でしたら体重1キロについて水10〜15ccぐらいを飲ませてからにします。胃の中がからですとなかなか吐いてくれません。あばれて困るときは毛布などでくるんでしまうとよいでしょう。水を飲ませたら子供をうつぶせにしてひざにかかえます。頭は低い方が吐きやすいようです。人差し指またはスプーンの先などで舌のつけ根、それもなるべく奥の方を押すように何度か動かします。子供がいやがっても吐くまで続けてください。

吐かせてはいけない場合
 次のようなときは吐かせてはいけません。
意識がないときやケイレンしているとき。
 食道と気管の間がうまく調節できず、気管に異物が入ってしまうおそれがあります。
強い酸またはアルカリを飲んだとき。
 トイレ用洗剤、排水パイプ洗浄剤、漂白剤、油おとしなどがあります。これを吐かせると食道が焼けてしまうためです。
石油の仲間を飲んだとき。
 燈油、ガソリン、シンナー、ベンジンなどです。これらを吐かせると、揮発したガスが気管に入って危険なのです。

 

 

 

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