衣がえの季節ともなりますと、ついでにタンスの中の防虫剤もとりかえておこうか、となりますね。古い防虫剤はあとで捨てようとまとめておいたところ、赤ちゃんがなめてしまう―こうして事故が起こるのです。

防虫剤のご三家
 徳川のご三家といえば尾張、紀伊、水戸ですが、防虫剤のご三家は「パラジクロルベンゼン」、「ナフタリン」、「樟脳(しょうのう)」です。このうちでいちばん多いものは「パラジクロルベンゼン」ですが、一応ご家庭でお使いのものはどれか確認しておきましょう。タンスの中にメモとして入れておくと忘れません。

ご三家の特徴と使い方
 

 毒性の強さ  樟脳、ナフタリン、パラジクロルベンゼンの順
 揮散性の強さ パラジクロルベンゼン、樟脳、ナフタリンの順
 殺虫力の強さ パラジクロルベンゼン、ナフタリン、樟脳の順

 頻繁に開閉するような場所は、揮散性の強いパラジクロルベンゼンが向いていることになります。ただしパラジクロルベンゼンは金糸や銀糸を変色させますから注意してください。なお、防虫剤を併用するとお互いに溶けてしまいますから、必ず1種類だけを単独で使ってください。

誤って食べてしまった場合
 パラジクロルベンゼンの致死量はだいたい25gといわれています。樟脳はたとえ1gといえども危険です。こうした防虫剤を口にしますと、多少の違いはありますが、だいたい頭痛、嘔気、腹痛、下痢などを起こし、ひどくなるとケイレンを起こして大変危険です。パラジクロルベンゼン、ナフタリンのときはできれば水を与えて吐かせます。ミルクは防虫剤を溶かし、吸収を高めますので使えません。そのあと医師の診察を受けましょう。樟脳のときはむりに吐かせようとしないで、直ちに医師のもとへ行きましょう。(パラジクロルベンゼンをなめたぐらいは、そのままにしておいても大丈夫です。)医師のところに行くときは、防虫剤の成分名を控えて行くことをお忘れなく。

 

 

 

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