薬草は、植物の葉、根、茎、皮、果実などをそのまま用いることもありますが、普通は乾燥して使うことが多いのです。この乾燥したものが、民間療法や漢方で使われる生薬です。生薬には、薬草のほかに動物や鉱物のものもあります。薬草を有効に使うには、カビが生えたりしないように、よく乾燥しておくことが大切です。特別の場合を除いては、採取後のやわらかいうちに刻んでしまいましょう。そうすることによって、乾燥しやすくなります。刻んだものは風通しのよいところに広げて干し上げます。できあがった生薬を保存するには、茶筒や厚手の紙袋がよく、中に乾燥剤を入れて、湿気の少ないところに保管しましょう。(薬研・・・・生薬を粉末にするための道具、ご家庭ではナイフ、包丁、すり鉢などで工夫してください。)そのとき、必ず薬の名前、日付などを記入しておきましょう。薬草は、乾燥したものをそのまま使うことはほとんどありません。もっとも普通の使いかたは、煎じて服用することです。
 次に一般的な煎じかたを説明しましょう。まず煎じるための容器は、土鍋、土瓶などが一番好ましいのですが、耐熱ガラス製のものやほうろうびき、アルマイト製のものでもかまいません。ただし、鉄製のものは、薬草の成分の一種であるタンニンと反応してしまいますので、使わないでください。
 分量は、1回に1日分を煎じるのが原則です。これをバラのまま容器に入れ、水600ccぐらいを加えて、中火で沸騰させます。沸騰したら、火を弱くして量が半分ぐらいになるまで煮詰めますが、このときふきこぼれないように気をつけましょう。水の量が、半分ぐらいになったら火を止めて、ただちに布か茶こしでかすをこします。時間がたつと、せっかく煎じ出した有効成分が、再びかすに吸着されてしまいます。そのあと、夏など気温が高いときには、冷蔵庫に入れて保管します。
 服用方法は、1日3回に分けて食間に服用するのが普通です。また、温めて服用するのが原則で、特に熱のあるときや下痢しているときは、必ず温めるようにしましょう。(吐き気があるようなときは冷やして服用します。)
 なお、服用量は、10歳ぐらいで大人の半量、5〜6歳で3分の1ぐらいが目安です。生薬の量に合わせて水の量も調節しましょう。
 煎剤のほかには、浸剤、エキス剤、チンキ剤や酒精剤があります。浸剤は生薬に熱湯100ccを加えて5分間加熱し、冷えてからこす方法で、長時間煎じていると、有効成分が揮散して失われるようなものに使われます。酒精剤は、生薬を清酒や焼酎、ホワイトリカーなどに浸しておくものです。

 

 

 

 

薬研(やげん)

 

 

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